ゆるり中医学~国際中医師が綴る生活に中医学を~

国際中医師、薬剤師が綴る中医学です。

中医学入門55 弁証論治~その19 八網弁証

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

今回は八網弁証について最後のまとめをみていきましょう。

八網弁証は

表裏・熱寒・実虚・陰陽

がそれぞれお互いに関連しているため

切り離して単独でみていくというより

組み合わせて判断していきます。

 

陰陽は八網の総括なので

それを除いた表裏・熱寒・実虚の組み合わせをみていきましょう。

このような組み合わせが考えられます。

しかし実際の病気はもっと複雑なのでこのようにきれいに分類できないことも

多々あるでしょうが

基本として上の図を覚えておくといいでしょう。

 

これで八網弁証については以上になります。

次回から弁証の先の論治についてみていきましょう。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門54 弁証論治~その18 八網弁証

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回も八網弁証のつづき

④陰陽弁証

についてお話していきます。

陰陽弁証=病位・病性・病勢の総括になり、

全体のバランスをみていきます。

つまり病位・病性・病勢の状態を参照しながら

いま現在の身体の状態

陰に傾いているのか

陽に傾いているのか

を判断していきます。

 

陰証というのは

裏証・寒証・虚証が属していて

全体的な機能が低下している

病状の変化が遅い

静的

見つかりにくい

という状態を表しています。

 

それに対して

陽証というのは

表証・熱証・実証が属してして

全体的な機能が亢進している

病状の変化が早い

動的

見つかりやすい

という状態を表しています。

 

しかし実際の身体を診たときに

このようにきっちり分類できないことが多々あります。

 

陰陽弁証でほかにある証として

亡陰

亡陽

という症状があります。

どちらも命に関わる危険な状態にあることを示しています。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門53 弁証論治~その17 八網弁証

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

今回も八網弁証の続きの

③病勢弁証

についてお話していきます。

 

病勢弁証=病気の勢い、体の抵抗力の状態をみて

     実と虚でみていくこと。

 

ここで正気と邪気について説明します。

病勢弁証では大きく

実証

虚証

に分けて考えます。

 

・実証

正気と邪気が戦っている状態→症状が激しい

急性的

・虚証

正気が不足している状態→症状は激しくない

慢性的

 

ただし実際には実証と虚証できれいに分けれない場合もあり、

共存していることも多々あります。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門52 弁証論治~その16 八網弁証

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

前回の八網弁証の続きです。

②寒熱=病気の性質を寒と熱で考察

《熱証》

・熱邪(温・暑・火)を感受

・臓腑の陽気が高まり過ぎた

・陰液の不足

 

症状としては

発熱・くちの渇き・顔が真っ赤になる

手足心の熱感・ホホの赤み・微熱

 

ここで手足心の熱感、ホホの赤み、微熱のことを

“虚熱(きょねつ)”

といいます。

 

 

《寒証》

・寒邪を感受

・臓腑の陽気が不足している

 

症状としては

寒気

手足の冷え・くちの渇きがなし・尿が薄く多量・トイレの回数が多い・軟便や下痢

 

ここで熱と寒の鑑別のポイントをお伝えしましょう。

一概に全部に当てはまるとは言えませんが、

熱と寒はこのようなポイントで判断することができます。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

中医学入門51 弁証論治~その15 八網弁証

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回から診断の中の3つ目の弁証の

八網弁証

についてお話していきます。

八網弁証とは

四診で得られた情報を分析して

陰陽

表裏

寒熱

実虚

の8個の観点から病気を判断していく弁証方法です。

 

この8個の観点から何が判断できるかといいますと

陰陽→総合判定

表裏→病気の位置

寒熱→病気の性質

実虚→病気の勢い

です。

ひとつづつ見ていきましょう。

①表裏=病位弁証

病気の起きている位置で判断します。



表証→浅い部位

風邪の引き始め

皮膚病

など体の表面に病邪がとどまっている状態

 

裏証→深い部位

体の表面部分以外の深い部分の臓腑に病状が出た状態

※表証以外はすべて裏証と考えられます

 

ちなみに

半表半裏証→表証と裏証が入り混じっている病証

もあります。

出る症状としては

胸脇苦満(きょうきょうくまん)・・・脇から胸にかけてつまり感があったり、

                  張って苦しい感じがある

往来寒熱(おうらいかんねつ)・・・寒気(おかん)や発熱が交互に出現すること

口が苦くなる

口が渇く

めまい・吐き気・食欲不振

などがあります。

イメージとしては

風邪の治りかけでは熱が下がったと思ったのにまた夕方になると発熱する

といった例があります。

 

次は寒熱、実虚についてみていきましょう。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門㊿ 弁証論治~その14 臓腑弁証5 “腎”

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回は臓腑弁証の続きの

についてお話していきます。

 

のはたらき

精気

納気

<おもな証> <治法>

腎陽虚 温補腎陽 朝方の下痢・足腰の冷え

陰虚 滋補腎陰 眠いけど眠れない・手足と心の熱感・ほてり

         潮熱(ちょうねつ)

腎不納気 補腎納気 咳・息切れ・活動するとひどくなる・呼が多く吸うが少ない

腎精不足 補益腎精 発育のおくれ(背が低い・体が小さい)・不妊

腎気不固 補腎固摂 夜のトイレの回数が多い・おねしょ

 

※上の5つの証に共通する症状として

腎虚=難聴・髪の劣化・耳鳴り・顔が暗黒色・足腰のだるさ

があります。

 

膀胱湿熱 清利湿熱通淋 トイレが近い・排尿痛

            おしっこに血が混じる・残尿感

 

陰虚の症状として出てきた

潮熱(ちょうねつ)とは

潮の満ち引きのように時間帯によって熱が上がったり下がったりする症状をいいます。

たとえば朝は平熱なのに、午後から夜にかけてのみ発熱する場合など

今回で臓腑弁証の各臓腑の証のお話は終わりになります。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

中医学入門㊾ 弁証論治~その13 臓腑弁証4“肺”

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

今回も臓腑弁証の続きの

についてお話していきます。

 

のはたらき

呼吸

宣発・粛降

<おもな証>

気虚 補益肺気 風邪をひきやすい・疲れやすい・声が小さい・疲れると悪化する

陰虚 滋陰潤肺 空咳・やせている・寝汗をかく・手足心のほてり

         痰が少なく切れない

風寒犯肺 散寒宣肺止咳 咳と痰(白か透明)・鼻水(さらさら)・鼻づまり・寒気

風熱犯肺 清熱宣肺止咳 咳と痰(黄粘)・鼻水(黄粘)・喉の痛みと腫れ

燥邪犯肺 滋陰潤燥止咳 空咳・痰(少・切れにくい)・口鼻喉の乾燥

 

痰湿阻肺 燥湿化痰 咳・白い痰がどんどん出てくる(切れやすい)・胸の閉塞感

 

大腸湿熱 清熱解毒利湿 腹痛・しぶり腹・痛みと灼熱感を伴う下痢

            便悪臭で血が混じる

腸燥津虚 潤腸通便 便秘・コロコロ便(少量)・口皮ふの乾燥

 

ちなみにここで出てくる

しぶり腹とは

便意は感じているのに、トイレに行ってもほとんど排便ない

ことを意味しています。

 

次回は腎についてお話していきたいと思っています。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。