ゆるり中医学~国際中医師が綴る生活に中医学を~

国際中医師、薬剤師が綴る中医学です。

中医学入門62 薬膳料理編~その1 大根餅

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回はいつもの講義からの番外編で

薬膳についてふれてみたいと思います。

薬膳と聞くとハードルが高いように思われるかもしれませんが

中国では台所のお母さんが最高の中医師と言われているくらい

身近にあるもので作れるものばかりです。

 

この番外編では薬膳本などに載っているレシピをみて

実際に作ってみようとおもいます。

初回のメニューは

大根餅

です。

大根餅の効能としてはレシピ本には

気の巡りを良くして気滞解消

とあります。

 

レシピは

これならできる漢方ごはん 薬日本堂 31ページ

を参照させてもらいました。

 

さっそくみていきましょう。

 

大根(100g)を千切り

大葉(5-6枚)を千切り

レシピでは干しエビ(適量)でしたがカニカマで代用します。

つぎに片栗粉(15g)・小麦粉(15g)を計量します。

 

これらをボールに入れて

粘りけが出るまでよく混ぜます。

サラダ油をひいたフライパンで丸く形をととのえながら

両面をキツネ色になるまで焼きます。

出来上がりです。

 

ここで中の食材についてみていきましょう。

【大根】

四性:涼

五味:辛甘

帰経:肺胃

効能:消化を促進

   気の巡りを良くする

   痰を解消する

 

【大葉】

四性:温

五味:辛

帰経:肺脾胃

効能:寒さをはらい、体外へ発散する

   気の巡りを良くする

 

※四性→食物の食性のこと

    温熱、寒涼にわけれます

※五行→食物のはたらきのこと

    酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味に分けられます

※帰経→食物がどの臓腑の機能に働くかをしめします

 

ちなみに

大根+大葉は咳の改善、胃腸の働きをよくするといれています。

 

このように大根と大葉のようにいつも冷蔵庫にある食材で簡単に薬膳を作ることができます。

身近になる食材でも効果のあるものがたくさんありますので

それを組み合わせたり

今の身体の状態にあった食材を摂取することで薬膳の効果を期待することができます。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門61 弁証論治~その25 論治・治法

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

以前論治には治則と治法の二つがあるとお話しましたが

今回から治法に入っていこうと思います。

 

治法の基本に

『八法』=汗・吐・下・和・温・清・消・補

があります。

この八法は治療の原則であり、

補瀉の原則にのっとっているものになります。

治療の最大の目的は身体の陰陽を整えることになります。

 

この8つの法則を大きくみていきましょう。

 

次回からこの八法をいろいろな角度からみていきましょう。

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門60 弁証論治~その24 論治・同病異治と異病同治

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回は論治の続きの

④同病異治と異病同治

についてお話していきます。

 

たとえば西洋医学においては

病院で処方されるお薬には保険適用になるために

決められた病名にしか使うことができません。

つまり

病名=処方薬

と決まります。

 

しかし中医学においてはまた違う考えになります。

 

同病異治からみていきましょう。

同病異治とは同じ病気でも証が違えば異なる治法を用いることです。

たとえば

鼻水という症状が同じでも

さらさらした鼻水なら外感風寒証として小青竜湯などの漢方薬を用いて

黄色のねばねばした鼻水なら肺胃熱盛証として辛い清肺湯などの別の漢方薬を用いて治療します。

 

証以外にも

個人

年齢

性別

体質

時期

気候

季節

地域

の違いを考慮する必要になります。

 

つぎに異病同治についてみていきましょう。

違う病気でも証が同じであれば同じ治法を用いることです。



たとえば

打撲と生理痛

一見関係のない病気にみえますが

証として瘀血・水滞が同じであれば

同じ漢方薬を用いて治療することができます。

 

なので同じ症状の人が飲んで効いたお薬や養生法も

今の自分に合っているのか検討して摂り入れる必要がありますね。

 

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

中医学入門59 弁証論治~その23 論治・三因制宜

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回も論治の続きの

④三因制宜

についてお話していきます。

 

三因制宜とは

治療というのは

時→因時制宜

地→因地制宜

人→因人制宜

の3つを考慮して検討していくということです。

 

ひとつづつ見ていきましょう。

1 時→因時制宜

時とは気候や季節を考慮することです。

同じ症状でも季節が違ったら、その時に対応した治療を考える必要があります。

 

2 地→因地制宜

地域制を考慮するということです。

温度や湿度が異なる地では

食生活や生活にも違いが出てきます。

それを考慮して治療を考える必要があります。

 

3 人→因人制宜

年齢や性差、人種差を考慮するということです。

同じ症状でも年齢や性別によって治療を考慮する必要があります。

 

このように同じ症状が出ていたとしても

時・地・人

の3つの違いを考慮して治療法や処方・養生を考えていくことになります。

これは中医学ならではの考え方になりますね。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門58 弁証論治~その22 論治・陰陽

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回も論治の続きです。

③陰陽

について。

 

中医学において

すべてのものは陰陽に分けることができると考えられていますと

以前もお話したことがありますね。

この陰陽に分けたときに

大事なのは陰と陽のバランスになります。

このバランスが崩れた時=病気

であると考えられています。

ということは

健康=陰陽のバランスがとれた状態

なので

つまり陰と陽の調和を図ること

論治における治療ということになります。

陰陽のバランスが崩れた原因としては

①どちらかの過剰

②どちらかの不足

この2点が考えられます。

1つづつみていきましょう。

過剰

原因については

熱邪の侵入

寒邪の侵入

などが考えられます。

過剰なときに扶正で補ってしまうとかえって悪化してしまいますので

袪邪する必要があります。

不足

原因については

体液が不足した

陽気が不足した

などが考えられます。

不足している時に袪邪してもかえって悪化してしまいますので

不足していたものを補うよう扶正する必要があります。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門57 弁証論治~その21 論治・扶正と袪邪

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

今回も論治の続きで

原則の

③扶正と袪邪です。

 

ここで

扶正(ふせい)とは

正気を強めて病邪に対する抵抗力と病邪を除去する能力を助けること

そして

袪邪(きょじゃ)とは

病邪を取り除き病状を改善すること

です。

ここでの原則は

補虚瀉実・・・虚すれば補い、

       実すればこれを瀉(しゃ)する

というものになります。

 

 

正気が不足している時(虚)→正気を補う(補)

              和法

              温法

              補法

邪気が多く存在(実)→邪気を取り除く(瀉)

           汗法・・・汗で邪気を出す

           吐法・・・吐かせて邪気を出す

           下法・・・便を出すことで邪気を出す

ここで虚証と実証について再度説明しつつ

虚証→扶正する

実証→袪邪する

についてみていきましょう。

 

 

治療するうえでは虚実を見極めることが大切になります。

なぜなら対応を間違えるとかえって悪化する恐れがあるからです。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

中医学入門56 弁証論治~その20 論治

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

今回から論治(ろんち)に入っていきます。

論治には治則と治法があります。

治則からみていきましょう。

治則とは

四診で得た情報を分析、総合的に判断して(弁証)

治療するうえで適用する原則のことです。

 

この原則には以下の種類があります。

①治病求本(治病は本に求める)

②扶正と袪邪

③陰陽

④三因制宜(随機制宜)

⑤同病異治・異病同治

 

この原則も1つづつみていきましょう。

①治病求本

これは

治療の大原則

と言われていて、

今出ている症状(=標 ひょう)だけではなく

根本的な原因(=本 ほん)

を追求して治療することです。

たとえば

頭痛のときですが

頭の痛み(標)に対して頭痛薬を飲む=対処療法(標治)になり

なぜ頭の痛みが起きているのかを追求して

血の巡りが悪くなっていることが判明して

これを改善する=根本治療(本治)

となりこれが治病求本になります。

 

次回は②の扶正と袪邪をみていきましょう。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。