ゆるり中医学~国際中医師が綴る生活に中医学を~

国際中医師、薬剤師が綴る中医学です。

中医学入門⑮ 五臓六腑について~その3 肝の不調

こんにちは。国際中医師、薬剤師が綴るゆるり中医学です。

 

前回の肝の続きで、今回は肝の不調についてお話していきたいと思います。

 

肝のはたらきは大きく2つあるといいましたが、

はたらきごとに不調がおきた時にでる症状をみてみましょう。

 

1 肝は全身の気を運行させる疏泄・そせつといいます)

このはたらきに不調が出た場合

①肝が弱まる=肝の気がふさがり、滞る

症状:情緒が不安定

  無気力

 

②肝の気の巡りが過剰になる=肝の気が上がる

症状:いらいらする

  怒りっぽくなる

  ヒステリー

 

2 肝は血を貯蔵する

このはたらきに不調が出た場合

症状:目の疲れ

  筋肉のけいれん

  しびれ

  こわばり

  思考力の低下

 

3 肝は筋・目・爪にあらわれる

不調がでると

症状:目・・・視力低下、目の乾燥、疲れ目、涙目

   筋・・・足をつる

   爪・・・横筋(疏泄が低下して、肝が弱まった場合)

       縦筋(肝の血が不足した場合)

 

といった症状がでてきます。

 

ここで2の不調の目の疲れや筋肉のけいれんなどの症状は

肝を五行で見たときに目と筋が関連しているので理解しやすいと思いますが、

思考力の低下は???という感じになるかもしれません。

脳というのははたらくために大量の血を必要とするため

肝の血が不足すると、脳の働きが低下して思考力の低下が引き起こされるのです。

 

こうしてみると肝はつくづく

血と気のはたらきに左右されているんだなあ

ということが浮かび上がってくるのではないでしょうか。

 

 

これらの症状が暗記するというよりも

気のはたらき、血のはたらき、

そして肝は五行表でどこと関連しているか(目・爪・筋・怒)

を理解することで連想できるようになります。

 

症状を理解することで、この症状がでているから

肝が弱いor高ぶっているのかもと導くこともできるようになります。

これはまだ先の話になりますが臓腑弁証という中医学の診断方法にもなっています。

 

次回は心と小腸のはたらきについておはなししたいと思います。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。