ゆるり中医学~国際中医師が綴る生活に中医学を~

国際中医師、薬剤師が綴る中医学です。

中医学入門㉙ 養生について~その6 日常生活の養生

こんにちは。国際中医師、薬剤師の綴るゆるり中医学です。

 

日常生活の養生の③四季の養生

夏と長夏についてみていきましょう。

 

とは

5月6日から8月7日ころまでをいいます。

そして長夏土用ともいい、おもに日本では梅雨にあたる季節と考えていいでしょう。

 

それぞれのキーワードは

夏→“暑” “心” “発散”

長夏→“湿” “脾”

です。

まずは“暑”“湿”から。

どちらも中医学の6つの邪気にあたります。

“暑”は上昇して発散して、津液を消耗します。

夏の暑さで大量に汗をかき、身体の水分が減ります。

それによって口の渇きや便秘といった症状が出てきます。

そして汗をかくときに一緒に気も身体の外に出ていってしまうので、

夏バテや夏風邪をひきやすくなってしまいます。

 

養生としては

水分を補給すること

ですが、ごくごくと大量の水分を摂ればいいとというわけでありません。

タイミングとしては喉が渇いてから飲んでは遅く

喉が渇く前に一定時間ごとにこまめに少しずつ飲むのがポイントです。

ここでいう水分とは冷たいジュースやお茶やアルコールではなく、

常温の水が望ましいです。



“湿”は重だるく、ねばねばしているという特徴があります。

梅雨で高温多湿になると

身体が湿にやられて重だるい

口がねばつく

足のむくみ

食欲がわかない

といった症状がでてきます。

 

養生としては

汗をかいたら衣類を着替えて、濡れたままいない

利水作用といって身体の余分な水分をとる作用のある

すいか、きゅうり、ハト麦茶

などを摂るといいでしょう。

ここでも冷えすぎないようには気を付けてください。

次に“心”

暑邪の影響で心がかき乱され

「心煩」(しんはん)といって心がワサワサして落ち着かなくなります。

また不眠や気分が不安定になるといった症状も出ます。

怒りやすくもなる季節なので、

大らかな気持ちを持ち、すぐに怒らないように夏は気をつけておくといいですね。

続いて“脾”

長夏の湿の影響を受けると

お腹がごろごろする、食欲がおちる、便がべたべたする

などの症状が出てきます。

 

養生としては

身体を冷やさない

脂っこいもの、甘いもの、味の濃い食べ物をなるべく避ける

脾の働きを助ける食べものをとる(とうもろこし、じゃがいも、かぼちゃ)

 

さいごに“発散”

身体の中の余分な熱を発散させることが大切です。

かきすぎない程度に適度な汗をかくために、

朝などの比較的涼しい時間帯に外に出て散歩をすることをお勧めします。

快適だからとクーラーのきいた室内に閉じこもってばかりいて発散ができないと、

身体に熱がこもり不眠や動悸がおきたり、

その後の季節の秋や冬に不調がでるといった影響がでたりします。

 

 

中医学的な夏のおすすめの過ごし方は

夜更かしはOKだけど、朝は早く起きること

暑と湿に気を付けながらも、“陽気”を体内に取り入れること

クーラーや冷たい飲食で身体を冷やさないこと

です。

冬病夏治」という言葉があり、

リウマチや気管支炎などの冬に悪化しやすい病気は、夏に治しやすいといわれています。

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。